僕の彼女はしきりたがりで、知り合った趣味のサークル内でも、2人の付き合い始めのきっかけも、全て彼女がしきっています。世話好きで段取りがいいというのなら良いのですが、彼女は単にワガママで自分のしたいようにしきるだけ。子どもの頃にそういう友達はいましたが、彼女の年齢までそれが続いているなんて、僕を含め、周囲の人たちが皆、優しかったからだろうなと想像できます。
今夜、夜景がキレイなホテルの最上階のラウンジでプロポーズをするのですが、それも彼女のしきりがあってのこと。僕はもちろん、彼女を好きでプロポーズするわけですが、それ以上に、僕くらいしか、彼女のワガママを聞いてあげられる人はいないだろうという、慈悲とも言える気持ちが強いと思います。なんせ彼女のこだわりはすごく、このプロポーズだって、もう3度目のチャレンジです。
1度目は夕方から雨が降りだし、夜景がキレイに見えなかったので、中止。2回目はあてにしていたホテルのラウンジの、窓ガラスがちょっと汚れて見えるという理由で中止でした。ホテルの最上階の窓ガラスなんて、そんなに頻繁に掃除できるものでもなさそうなのに、彼女は夜景を見るためには、窓ガラスの美しさも重要だと一歩も引きません。だから僕が3回目のプロポーズに挑むしかないのです。
もう同じ過ちは繰り返したくないので、僕は昼間のうちにそのホテルを訪れ、ラウンジの下見を行いました。昼間の太陽の下では、どの窓ガラスもとてもキレイに見えます。それでも念を入れて、ラウンジの責任者の方をお呼びして、席の予約とその席から見える窓ガラスの清掃をお願いしました。ホテルって凄いですね。お客様の要望には、本当に快くうなずいてくれるのですね。お客様の少ない時間帯だったため、責任者の方はすぐに他のスタッフさんを呼び、その場で窓ガラスの清掃をしてくださいました。
さあ、今夜こそプロポーズが実現するでしょうか。